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【北海道】ICTモデル工事で効率化など効果確認、コスト面に課題も
日刊工業新聞より
北海道建設部は、2021年度に試行したICT活用モデル工事の受注者アンケート結果をまとめた。
作業の各段階で要した日数や人工数の定量的評価は、工事全般の平均値で従来施工の72%となり、施工の効率化や労力の軽減などの効果が認められた。
一方、未実施の企業からは機器調達や人材育成などコスト面を課題に挙げる意見が多く、費用助成制度の導入・拡大を求める声が多かった。
同部では、国によるi-Constructionの取り組みの加速などを踏まえ、17年2月に「建設現場のICT活用に関する北海道の取組方針」を策定し、ICT活用モデル工事に取り組んできた。
18年度は土工規模1万立方メートル以上を対象に、施工前を含めた建設生産プロセスの5段階でICT施工技術を活用する全面的なICT活用工事を試行導入し、21年度は土工量1000立方メートル以上の一般土木工事と3000平方メートル以上の路盤工を含む舗装工事を対象にモデル工事を展開している。
今回のアンケートは全面的ICT活用モデル工事(受注者希望型)で発注し、21年度内に完成した工事を対象に実施し、64件から回答を得た。
回答者のうちICT施工を実施したのは19件、未実施が45件。
実施工事の内訳は土工が18件、舗装が1件。
使用したICT建設機械はMC(マシンコントロール)バックホウが14件、MG(マシンガイダンス)バックホウが5件、MCブルドーザーとMCモーターグレーダーが各1件だった。
活用計測技術はトータルステーション(TS)が14件、GNSS(全球測位衛星システム)とUAV(無人航空機)が各5件、レーザースキャナー(LS)が4件などとなっている。
定量的評価では、各段階(事前準備段階、施工段階、提出書類作成段階)でICT施工で要した日数と主作業員数、補助作業員数を、従来施工と比較。屋内作業(内業)時と屋外作業(外業)時に分けて集計した。
日数は施工段階の外業が従来の66%と最も縮減され、事前準備段階の外業が75%、施工段階の内業が78%、提出書類作成段階の内業が82%と続き、前年度は100%を超えた事前準備段階の内業も94%となり、内外業ともすべての段階で従来施工を下回った。
人工については、主作業員の事前準備段階の内業が113%と唯一従来施工より多くの人工を要したが、そのほかは2割以上縮減。
特に内外業とも施工段階で大きな縮減効果が得られ、内業の作業員は従来の60%、補助作業員は54%、外業の主作業員は54%、補助作業員は55%だった。
日数と人工を合わせた平均値は内業が79%、外業が65%、全体平均は72%。従来施工より効率化が図られた結果となった。
ICT活用工事のメリット(複数回答)は、「作業効率の向上」が21件と最も多く、そのほかにも出来形管理や施工精度の向上、情報化施工の経験・人材育成、安全性向上などをメリットに挙げる回答が見られた。
普及に必要なことは「機器調達の費用助成制度の導入・拡大」の19件が最多で、「人材育成の費用助成制度の導入・拡大」が17件、「技術者の確保・育成を目的とした研修・講習会などの実施」が14件と上位を占めた。
一方、未実施者に聞いた未実施の理由で「重機や機器のレンタル費用などでコストが増加する」が13件、「3Dデータ作成者やオペレーターなどの技術者が確保できない」が11件などが上位になっており、機器調達や人材育成にかかるコスト面で課題がある結果となった。
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