インドネシアの代表的な雇用形態について

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こんにちわ。

香川県高松市の㈲生道道路建設です。

前回、インドネシアの労働法は日本や東南アジアの国々と比較して、労働者寄りの作りであることを紹介しました。

本記事では、少し深堀して、使用者と労働者との間に交わされる雇用契約について紹介します。

ぜひ参考にしてください。

 

インドネシアの代表的な雇用形態について

インドネシアの労働法は、雇用契約を締結する使用者および労働者に適用されます。

雇用契約の形態としては、下記の2つがある。

 

①労働力を必要とする者と労働者が直接雇用契約を締結する形態

②労働力を必要とする者と労働者が直接雇用契約を締結しない形態

本記事では、①の使用者が労働者を直接雇用する形態について解説します。

②の使用者が労働者を直接雇用しない形態は、日本でも同様にある派遣や請負契約に当たるものです。

 

使用者が労働者を直接雇用する形態

インドネシアにおいて、労働力を必要とする使用者が労働者を直接雇用する形態は、以下の3つがあります。

①期間の定めのない雇用契約(無期雇用契約)

②期間の定めのある雇用契約(有期雇用契約)

③日雇契約

なお、アルバイト、パートタイムは法律上認められておらず、上記のいずれかの形態で契約する必要があります。

①期間の定めのない雇用契約

期間の定めのない雇用契約とは、文字通り期間を限定せずに労使関係に入ることを合意する契約です。

特徴として

・対象業務が限定されない

・契約終了の際に退職金を支払う必要がある

・使用者から契約を終了させる場合、労働法に定める一定の事由が必要かつ労働裁判所の決定が必要

・3カ月以下の期間の試用期間を設定することができる

・口頭、書面いずれの形式でも締結可能だが、実務上は書面で締結する

上記の通り、期間の定めのない雇用契約を使用者側から終了させるのは困難な場合が多く、また多額の退職金が必要になるため、試用期間中に各労働者の資質を見極めたうえで雇用契約を締結するか否かの判断を行う場合が多いです。

 

②期間の定めのある雇用契約

期間の定めのある雇用契約とは、使用者と労働者の間で合意された期間のみ、互いに労使関係に入ることを合意する契約です。

期間の定めのある雇用契約は、種類や性質により一定の期間で終了する特定の業務においてのみ可能です。

具体的には下記の4種類の業務が挙げられています。

(1)業務の性質上1回で終了する業務または一時的な業務

(2)短期間(3年以内)で完了する業務

(3)季節的な業務(一定の注文に対応するための業務を含む)

(4)新製品、新規活動または試験段階にある追加製品に関する業務

 

上記のいずれかに該当する場合でも、性質上永続的な業務に関して期間の定めのある雇用契約を利用することが出来ない点に留意が必要です。

特徴として

・上記の各種類ごとに期限の上限や更新の可否が定められている

・期間は原則2年

・雇用契約終了の7日前までに書面通知を行うことにより1年の延長が可能

・(1)と(2)の場合には2年間の更新が可能

・(3)と(4)の場合には更新ができない

・退職金は発生しない

・合意した期間の経過や業務の完了をもって契約を終了することができる

・試用期間を設定することができない

・必ず、書面で雇用契約を締結する(ない場合、期間の定めのない雇用契約となる)

 

よって、期間の定めのない契約と比較すると、期間の経過や業務の終了を持って契約を終了させることができたり、退職金を支払わなくていいなど、使用者としては期間の定めのある雇用契約を締結する方が、労働力の必要性に柔軟に対応できるというインセンティブが働きます

 

③日雇契約

日雇契約とは、時間や業務量が定まっておらず、勤務時間に応じて賃金が決定される業務において締結可能な契約形態です。

特徴として

・退職金は発生しない

・合意した期間の経過や業務の完了をもって契約が終了する

・使用者は労働者と書面で雇用契約書を締結する必要がある

・契約書は、雇用開始から7営業日以内に届けなければならない

・上記の届出義務に違反した場合、期間の定めのない雇用契約となる

 

以上のように、雇用契約においても労働者保護寄りになっており、使用者は十分な検討をもって労働者と契約する必要がありそうです。

 

 

以上です。

本日も最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

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